相手への敬意の気持ちを表現する方法として生まれた礼儀作法。
この日本人の礼儀正しさは世界中から注目を浴びています。
しかし外国と日本では、マナーや礼儀作法がすべて同じではありません。
なので、外国人の方とお会いする時、一体どのように日本のマナーで接すればよいのか悩みますよね?
ここでは礼儀作法の歴史をひもとき、世界に広がる日本のマナーについて、考えていきたいと思います。
礼儀作法とは?
礼儀とは
人を大切に思い敬意を払うこころと、
常に相手を気遣う思いやりのこころ。
そのために自分自身を慎む謙虚なこころ。
その礼儀のこころを形として表現する方法が、形式化され礼儀作法になりました。
では、いつから日本人は礼儀作法を身につけるようになったのでしょう?
礼儀作法の歴史
日本で一番最初に文書で礼儀作法についてかかれたのは、皆さんもご存知の聖徳太子の十七条の憲法だったそうです。
十七条の憲法を大まかな解釈をすると、当時の貴族階級に向けての道徳や心がけについて書かれています。
そしてそれをもとに朝廷や武家、貴族の間で歳時や儀式のなかで礼儀作法などの形がうまれました。
その後、武家社会の殿中礼儀で、模範とされていた弓の名手小笠原家の小笠和流礼法があらわれます。
小笠原流の礼法は鎌倉幕府からの信頼をうけ武家社会のマニュアルになりました。
室町時代になると小笠原流と伊勢流、今川流を主として様々な流派の礼法が生まれます。
その中でも庶民にまで幅広く行われたのが小笠和流といわれています。
江戸時代にはいると、江戸幕府が将軍家以外、小笠和流を使っては行けない、”お止め流”の令を出します。
しかし水島ト也が江戸で小笠原礼法をもとに、庶民に必要なオリジナリティを加えた礼儀作法を広めました。
その結果、礼儀作法は一般庶民にも広がりました。
続くように、近代化を進めたい明治政府が、学校教育を通し全国民に向けて礼儀作法の指導を始めました。
これが現代の私たちが身につけている基本のマナーや礼儀作法につながります。
文化 受け継がれていくもの
このように身分や時代を超えて、礼儀の精神は受け継がれてきました。
礼儀を重んじる事に共感した私たちのご先祖様が、大切な事だから、と子孫へとつなげた賜物です。
子孫である現在のわたしたちは礼儀の教えを家族や社会、学校から受け取ります。
そして大人になると日本社会の中でますます洗練された礼儀作法やマナーを身につけていきます。
さらに冠婚葬祭や歳時、日常の中の礼の精神など、様々な日本特有の礼儀作法の形を人生の折に触れて学びます。
このようにしてみんなの心身に付いた礼儀の精神。
それはホスピタリティとなり、他者にたいして思いやりを含んだおもてなしとなって、より質の高いサービスを提供できる国へと成長します。
いにしえの人々が折に触れて守ってきた日本の礼儀。
今度は私たちが未来と世界につないでいきたいものですね。
外国人からみた日本人の礼儀作法、マナー
日本人同士でのコミュニケーションを円滑にきもちよくすすめる日本社会の様々なマナーと礼儀作法。
これはお互いが知っているから成り立ちます。
しかし、日本社会をよく知らない外国人の方に、日本のマナーや礼儀作法の常識を当てはめ、
それに叶わない、届かない、と嘆くのでは本末転倒です。
それでは相手を思いやる礼の精神、和の精神から大きく外れてしまいます。
では、外国人の方とお会いする時は、一体どのような心がけで接すればいいのでしょうか?
日本のマナー、礼儀の良い点
外国人からみて日本の素晴らしいマナーと言われていることの一部をみてみましょう。
例えば
• どんな時でも列にきちんと並んでいる。
• 挨拶とお礼はきもちよく伝える。
• 次の人が気持ちよく使えるように使ったら元に戻す。
• 公共の場では他者の時間を尊重して、お互いに静かにする。
• ゴミをきちんと持ち帰えっている。
• 靴はきちんとそろえる。
• 贈り物をいただいたら感謝をつたえ、お返しを送る。
• TPOにあわせた服装と態度をこころがける。
などが思い浮かぶのではないでしょうか?
こうしたあたりまえのマナーを守り合うことで、お互いのちいさなわだかまりが優しくほぐされます。
そんな姿はやはりどこの国の方が観ても、そんな美点は心地よい処方のようです。
わかりやすい点 理解しやすい方法
日常生活では挨拶やお辞儀、
食事のしかたや贈り物の方法。
冠婚葬祭、
歳時
など
日本で暮らしていく上で身につけるべきマナーや礼儀はたくさんあります。
その上、“道”がつく日本の文化の中には、マナーや作法が凝縮されています。
特にこれらは“身につけたい“という意思のもとに学習しなければならず、なかなか安易には習得できません。
しかし、日本では日常の中にだれでもマナーを学ぶチャンスがかくれています。
日本では様々な場所に注意事項や必要なマナーについて、とてもわかりやすいイラストで表記されていますよね。
箸の持ち方、使い方についての小さなイラストのついた割り箸の袋なんかもあります。
その絵をみれば一目で簡単に滞在中の外国人でも日本社会の中のルールを知ることができます。
こういったイラストつきの説明や表示は、もちろん外国でも見かけますが、日本は圧倒的に数が多いです。
そんな表記や実際の日本人の行動をみて、日本に訪れた外国人の方もマナーを学びます。
そして日本人のマナーはすごい!と帰国されてからお土産話に花が咲くのでしょう。
読み取る側への配慮によって、おたがいがより気持ちよく過ごせるように作られたマナーの伝達方法。
礼儀の心から生まれた迷わない心配りです。
学んでみたい点 具体的に取り入れてみたい点
素晴らしいサービスを受けられる国。
ということは、
サービスを提供する側にすれば、常に全社員が均一にマナーや礼儀を提供している。
ということです。
なので、それぞれの企業ではお客様に対して、サービスのマニュアルが存在します。
事細かにマニュアル内容を統一する事で、お客様に対してきめ細かいサービスを必ず提供できるようになります。
もちろんマニュアルに頼りすぎた対応だけでは、礼の精神は伝わりません。
それぞれの心に“まごころ“が必要になります。
マニュアルにはもちろん一長一短があります。
しかし、こうした社全体の思想をあらわすようなマナーの軸が、末端にまで行き渡っていれば、
徹底したサービスをお客様にお届けする事ができます。
外国人からみて理解しにくい難しい点
外国人の方が日本のマナーの中で一番難しいと感じることは、
日本のマナーの基本である、“他者の気持ちを察すること”だといいます。
“ああ、ほんとはこんなことを言いたいのだろうなぁ”
“多分、こうして欲しいのかなあ?”
と、つねに会話や行動の中から相手の気持ちを察することが日本で生活するには大切なスキルになります。
この察するという行為が外国の方にはなかなかな難しい問題です。
私たちの日本語は、会話の内容によっては主語を毎回いわないでも相手に伝わるし、
話しながら最後に言いたい事を述べればいいので、自然にお互いを察しながらコミュニケーションをとっています。
しかし、英語をはじめとするほとんどの外国語はそういった曖昧な文章でのコミュニケーションは不可能です。
なので、きっと汲み取ってくれるだろうな。
というこちらの思いを察していただけなかった場合、トラブルになりかねません。
大切なことは真心を込めてきちんと直接お伝えした方がお互いに気持ちがいいですよね。
まとめ
礼のこころが日常に浸透し、義をもって行動する。
このような礼義の精神が日本にはあります。
古来から現在まで続く礼儀の流れ。
それはどんな時代においても、礼を尽くす事はとても大切なことだと考えるに行き着いたからでしょう。
礼義の心。
それは時を超えて現代のわたしたちにまで届きました。
同じく、国境をこえて日本の礼義がすばらしいと、今世界が注目しています。
いにしえの人々が現在の私たちまでつたえてくれたように、
今度は私たちが世界の人々につたえてゆく番。
日本から世界に、礼義の和が広がっていくといいですよね。